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第二話 帰郷 〜故郷に錦を飾れ〜
 我らが首都、Tir Nan Ogを見物した僕は、その後もTir Nan Ogと、その城下町Mag Mellの周辺で狩りを続けていた。

 そして月日が流れた。

 ふと気がつけば、僕はあっという間にレベル5になっていた。
 ヒベルニアの序盤は、ミッドガルドに比べて、かなり狩りが楽だ。楽な理由は簡単で、獲物がいるのである。レベル5になった今も、次に倒す敵は余裕で目星がついている。ミッドガルドの時のような『次は一体なにを倒せばいいのだろう』的な悩みが少ない。少なくとも、今は。

 ということで、レベル5になったので恒例行事のクラスチェンジをしよう。
 そう思って手近なMag Mellで、僕が目指す上級職であるところの、チャンピオンのトレーナーを捜してみたんだけど、どこを探してもいない。
 困った僕は、現在のクラス、ガーディアンのトレーナーに聞いてみる。

 トレーナー 「Tir Nan Ogのトレーナーに会ってきなさい」

 やっぱりぃぃぃぃ。
 Tir Nan Ogにゾーンするのめんどくさーい。

 とは言っても、行かなきゃしょうがないので、とりあえずTir Nan Ogへいって、さっさとクラスチェンジをしてくることにする。した。チャンピオンになった。はやっ。

 クラスチェンジまでの描写はもうさんざんやったので割愛なのだ。

 さて、ここで僕は思った。
 これからTir Nan OgとMag Mellを根拠地にするとなると、レベルが上がる度に、スキル上げのためにTir Nan Ogの中にエッチラオッチラ入っていかないといけないのか・・・。首都Tir Nan Ogは雰囲気はスゲーいいんだけど、実用性はその辺のショボい村の方が上かもなぁ。
 と。

 よし、クエストでTir Nan Ogに来たまま長々と居着いてしまったけど、そろそろ故郷方面へ戻るか。

 旅立つ前に故郷で受けた、『Spraggonの髪の毛』と『ナントカのエッセンス』を集める、というクエストをしながら帰ることにしよう。
 クエストの具体的な内容は簡単で、Spraggonという敵と、ナントカという敵を倒すだけだ。そうすれば勝手に目的のブツがバックパックに入るはず。DAoCでは、クエストアイテムはオートルート(ルート=拾う)という、親切なんだか、理解するまで混乱を呼ぶんだかわからんような機能が実装されているのだ。
 両者とも故郷のHowthからTir Nan Ogに行く途中で山ほど見たから、道を進みつつ狩りをしていれば、ブツは自然に貯まるだろう。今回の標的となる2種類の敵のレベルは、故郷を出たLv3の時点で同レベルか一つ上のレベル、というくらいの強さだったから、Lv5の今ならちょうどいい経験値稼ぎにもなりそうだ。

 てなわけで、道々、標的を発見しては、チャンピオンになって覚えた新技、Valor系魔法でPull(おびき寄せ)をして、殺す。

 ぼわーん。

 このValor系の魔法がまた、とりたてて強くはないけど非常に便利だ
 どちらかというと特殊技能扱いで、EQのキックのように、発動ボタンを押したと同時に敵に当たる。さらに、少なくともミッドガルドでルーンマスターをやってた時は、自動戦闘中には普通の魔法は使えなかったんだけど、こいつはいつでもどこでもボタンを押せば出る。

 だから、Pullによし。戦闘中の気休めの追加ダメージにもよしだ。
 非常に使い勝手がいい。
 POWはほとんど消費しないし、撃てるだけ撃ちまくるのだ。連続発射はできないで、約20秒置きの発射に限定されてはいるけど。

 さて、こんな感じで新しい戦闘スタイルを駆使しながら戦い続けて、次のレベルまでに必要な経験値の50%位を稼ぐと、手元には3つのクエストアイテムと、非力な僕には持ち運べないほどの大量の戦利品が貯まっていた。
 DAoCではクエストを受けると、クエストの標的を倒したときに、標的からクエストアイテムをオートルートするということは前述したけど、それと同時に、クエストアイテムを必要数手に入れると(またはクエストを受けていないと)、そもそも敵がクエストアイテムを落とさなくなるのだ。
 これだけ倒してクエストアイテムが手元に3つということは、3つ集めればこのクエストはOKなのだろう。

 これ以上荷物が増えると移動速度が下がることだし、故郷に戻ってクエストを終わらそう。

 Tir na mBeoArdagh、と言った村々をぬけて、ついに生まれ故郷のHowthにたどり着いた。
 ここを出たときはまだガーディアンで、やっとマントを買ったばかりだった、ということが、まるで昨日のことのように思い出される。
 昨日のことだけど。

 そうして、僕にクエストをくれた人に会いに行くと、予想外にも彼女はこんな事を言ってくれた。

 トレーナー 「もうクエストは終わりましたか?」

 いや、ちがうだろ。あんたがここでいうべきなのは、『そのアイテムを渡してください』だろう。
 ・・・んー?なんかおかしいぞ。
 そう思って、いまさらになってクエストジャーナル(クエストについての簡潔な指示が乗っている。便利)を読んでみる。

 [Step#3] Ardaghのヒーラーにアイテムを渡せ

 ・・・。
 しまったぁ。てっきりクエストをくれた人に渡すんだと思いこんでいた・・・。Ardaghって、今通ってきた村じゃん。失敗したよ、トホホ・・・。

 軽く凹みながら、再び来た道をArdaghに向かって北上する。

 走ること数分。無駄にした時間に歯噛みをしながら村に到着して、目的のヒーラーを探すと、あっさりと野外のテントに彼は見つかった。

 それっ。くれてやるわっ。

 アイテムを三つとも渡してやると、ヒーラーはお礼の言葉を投げかけ、僕は2sp強のお金(敵数匹分)と、経験値を手に入れることができた。ふう。

 クエストは少しミスったとはいえ、まあ、さっくりと終わったといったところかな。

 さて、これからどうしよう。

 せっかくだからしばらくここArdaghを根拠地にするかな。いざというときにTir Nan Ogに近いし、かといって、Tir Nan Ogほどに混んでもいないし。
 うん、そうしよう。

 /bind 、っと。

 つづく。







−登場人物−

Flie (Elf / Champion Lv5)


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